海外出稼ぎ労働者(TKIs)のための公的保護機関設立
海外出稼ぎ労働者の保護を求める動きが高まるなか、2003年11月には中東に出稼ぎに行っていた女性が、帰国後出稼ぎ中の虐待が原因となって死亡するという事態にまで発展した。政府はついに海外出稼ぎ労働者のための公的保護機関の設立することを発表した。
公的保護機関、ようやく発足に向け準備
2003年11月18日、法務・人権大臣、外務大臣、労働・移住大臣、宗教大臣、婦人担当国務大臣、運輸大臣の連名による共同通達が発行され、海外出稼ぎ労働者の保護と現状把握のための機関が設置されることが決定した。
これらの機関は、1.海外就労者の保護、2.斡旋業者や派遣先の雇用主の実態調査、3.問題発生時の保護・救済・支援・仲介を主な活動とする。インドネシア人が多く就労する中東(サウジアラビアやクウェートなど)に、アラビア語が堪能で、中東在住経験が長く、労務問題に明るい人物を配置し、問題に対処する予定だという。
同様に、マレーシアやシンガポールなどにも順次保護機関を設置し専門家を派遣、現在約200万人いるとされる海外での出稼ぎ労働者の保護を行っていく模様。
しかし、インドネシア出稼ぎ労働者保護委員会(Kopbumi)のワユ代表は、2001年にも同様の共同通達が発布されながら、それが全く効力を発揮せずに現在に至っていることを指摘している。そのため、機関の設置だけではなく、海外出稼ぎ労働者に関する法律をしっかり定めることによって、また出稼ぎ労働者受け入れ国との2カ国協議を十分に行い、2カ国間協約を結んでいくことが最も重要だと主張している。この2つの問題を解決しないかぎりは、出稼ぎ労働者の本当の保護にはならない、とワユ代表は述べている。
2004年2月 インドネシアの記事一覧
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