公務員労働組合法案の動向

カテゴリー:労働法・働くルール労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年12月

韓国では「公務員労働組合の設立と運営等」に関する法案が、10月に国会に上程されている。この法案では労働三権のうち団結権及び団体交渉権(団体合意権を含む)は保障されるが、団体行動権(ストライキ権)は認められない。

一方、全国公務員労組(全公労)は11月15日、公務員の労働三権保障を求め、初の全面ストライキを実施した。政府の集計によればこのストには約3200人の組合員が参加した(全公労の発表では4万5千人)。しかし、参加した公務員全員に対する懲戒処分という厳しい方針を政府が示したため、多くの者が翌日には通常業務に復帰したと伝えられている(注1)。

法案の内容

公務員労働組合法案の主な内容は、まず第一点目に、上述のとおり公務員の団結権及び団体交渉権(団体合意権を含む)を認めるが、団体行動権(ストライキ権)は認められない。第二点目は、6等級以下の一般公務員および同等相当の公務員に労働組合への加入が認められる。ただし軍人や警察官等政治的に任命を受けた特別な業務にあると考えられる特別公務員は除外される。 基本的に、給料・福利厚生・その他の労働条件に関する事項が交渉の対象となる。

政府はこの法案について、国際労働基準に基づくものとし、「すでに複数の公務員グループが労働組合活動に従事している現状を考えると、公務員労働運動の合法的かつ合理的枠組み確立の必要性は非常に高い。公務員労働組合の認知により公務員の労使関係が安定するだけでなく、行政の透明性および民主主義が高まる能性も高い。」としている(注2)。

今後の予定

政府は昨年も公務員労働組合法案を作成し、その成立を目指したが、複数の公務員グループの反発にあい法定制定手続きを保留した。これを受け本年度初頭より関係省庁と協議の上本法案の内容の見直しを行い、10月19日の閣議決定にて最終的に確認されたものである。

今後、政府は反対派の公務員グループに対し、いかなる状況でも市民に対する行政サービスを停止させるべきではなく、公務員に団体行動権を与えることは不可能であると説得して理解と協力を求める予定である。

政府が発表した世論調査の結果によれば、市民の75%が公務員労働組合のストライキ権に反対していた。大多数の市民は公務員の労働組合に対し、団結権および団体交渉権(団体合意権)などの労働基本権を認めるべきと考えているが、ストライキ権は禁止すべきと考えているという。

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