雇用社会問題相理事会の開催

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  • 国別労働トピック:2004年12月
 

10月4日、EU雇用社会問題相理事会が議長国オランダの主催によりルクセンブルグで開催され、男女均等待遇(職場外)、派遣労働、労働時間に関する指令案を含む重要な議題について討議が行われた。

男女均等待遇指令(職場外)

理事会は、雇用関係を超える全ての生活領域への均等待遇原則の拡張を目的とした職場外における男女均等待遇指令案に関する合意に達した。これは、物やサービスへのアクセス及び供給に関する均等待遇を保障することを目的としている。

指令案は、特定の条件下での数多くの例外規定を含んでいるものの、均等待遇を保険や金融サービス業者等が配慮すべき基本原則であると規定した。例えば、加盟国は、性別がリスク算定の決定要因の一つである場合に、個人の保険料や利益における合理的な格差を許容してもよいが、いかなる異なった取扱いも関連する正確な統計データに基づくものでなくてはならない。またそれらのデータは公開され定期的に更新されなければならないとしている。

指令案は、一般に提供されている物やサービスで個人や家族生活の領域外のものに限定され、メディアや広告の内容、公的・私的教育には適用されない。指令案は、3年間の移行期間を設け、加盟国がより高度で広範な保護水準を追求できるよう、最低条件のみを規定している。

指令案の採択には、閣僚理事会における全会一致を必要とするが、欧州議会の同意は必須ではない。欧州議会は、2004年3月30日に指令案に関する意見を発表しており、指令案が各言語に翻訳された後、採択されることは間違いないと見られている。

労働時間指令

理事会は、2004年9月に欧州委員会が発表した労働時間指令の改正案に関する最初の意見交換を実施した。指令の主な改正点は、1)平均週労働時間の上限の算定基礎期間の変更、2)「待機時間」に関する新定義の導入、3)週48時間労働の適用除外要件の厳格化――などである。指令案は合意が難しい問題をはらんでいるが、議長国オランダは、2004年12月の雇用社会問題相理事会で指令案に関する合意に達することを目指している。

派遣労働指令

理事会は、2003年6月以来となる派遣労働指令案に関する政策討議を実施した。2002年3月に欧州委員会が提案した同指令案は、柔軟性と雇用の安定の均衡を図り、非典型労働者の労働条件を規制する一連の政策の完成を目指すものである。

今回の討議においては、派遣労働者に対する均等な賃金と労働条件に関する未解決の問題について主に焦点が当てられた。しかし、理事会で妥協点を見出すためにはさらなる努力が必要であるという点以外、何ら共通認識に達しなかった。派遣労働は、EUが2000年3月のリスボン欧州理事会で決定された就業率目標を達成するための一つの重要な要素と見られている。

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