欧州会社ノルディアにおける単一労組の結成

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  • 国別労働トピック:2004年12月

2001年10月に採択された欧州会社法が2004年10月8日施行された。同法は、各加盟国の国内法に基づかずEU法に基づいた株式会社(欧州会社)の設立を可能とする「欧州会社規則」と欧州会社における従業員の経営参加のあり方を規定した「欧州会社への労働者の関与に関する指令(労働者関与指令)」からなる。

デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの銀行や保険会社が合併して1998年にできた北欧最大の金融サービス企業のノルディア(Nordea)は、2003年6月、欧州会社法に基づいて設立される最初の欧州会社の一つとなることを発表していた(移行期日は未確定)。ノルディアは、ポーランド、バルト三国、ロシアの各国でも事業を展開している。

ノルディアの従業員を組織する北欧諸国の4つの金融産業労働組合は、会社側の計画に対応して、国境を越えた多国籍労働組合を結成することを決定した。欧州会社ノルディアの誕生は、労働組合にとっても、ノルディア従業員がどの国で働いているかにかかわらず、彼らの利益を保護するため、いくつかの国に拠点を置く単一の労働組合を組織する必要性を生み出した。

この決断の要因の一つには、労働者関与指令が、欧州会社の設立に先立って、情報提供、協議及び広範な労働者参加の方法に関する労使合意を必要としていることがあげられる。

ノルディアは、既に中央レベル及び個々の事業所単位において欧州会社設立に向けた準備組織を立ち上げている。この準備組織は、労働環境、ストレス、教育訓練などの問題を扱うが、賃金やその他の労働条件は中央レベルが決定することとなっている。従業員代表は、ノルディアがその事業をある国から別の国に移したり、外注化するときに、事前に協議を受けることとなっている。

ノルディアは、10月1日、同社のITプロダクション業務の整理合理化に向けた取組みの一環として、IBMとの間で26億ドル(22億ユーロ)相当のアウトソーシング契約を締結した。契約期間は10年で両社でジョイントベンチャーを設立し、ノルディアの従業員約900人が移動することになる。労働組合側は、IBMが最大の株主であるこの新会社における労働協約の締結について協調して取り組んだ。

新しいノルディア労働組合は、北欧諸国において3万5000人の労働者を組織する。関係する労働組合は、移行準備に携わる選任された従業員代表の教育訓練に関しEUからの支援を受けている。ノルディア労働組合は、将来的にバルト三国及びポーランドのノルディアの事業拠点における組織化を目指している。現在は、北欧の4つの金融産業労働組合が、ノルディアとEU新規加盟国のノルディア労働者の組織化や労働協約締結に協力しており、EUの支援も受けている。

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