2005年予算案における雇用関連予算
スウェーデン政府は、9月20日、2005年予算案及び経済見通しを発表した。
政府経済見通しによると、2004年前半のスウェーデン経済は、2003年前半に比べ3.4%成長し、工業の生産性も約10%上昇した。2004年通期の経済成長率は、好調な輸出の影響で実質経済成長率が3.5%(うち0.6%は、2003年に比べ労働日数が多いことによる)になると予想される。2005年は輸出が幾分減少するが、国内需要の増加が期待され、実質成長率は3.0%になるものと予想されている。
経済は好調に転じ比較的高い成長が期待されるが、労働市場は依然不況の影響下にあり、失業率は、2003年の4.9%から2004年は5.6%に上昇し、2005年も5.1%と比較的高い水準が持続すると予想される。とりわけ若年者、移民、高齢者の失業率が高くなっている。
2005年度予算案は、地方政府の雇用対策費として145億スウェーデンクローネ(SEK)(注1)を計上している。労働市場政策プログラムには、新規2万人分を追加した11万1000人の枠を用意した。同プログラム参加者の労働人口に占める割合は、2003年の2.1%から、2004年に2.3%、2005年には2.5%まで増加すると予想されている。
2004年に成功を収めた若年者雇用プログラムは、20~24歳層の長期失業者の減少に貢献した。2005年予算は、失業期間が6カ月の若年者に対しても助成できるよう雇用援助プログラムの予算を増額した。労働市場庁(AMS)は、雇用援助プログラムが、新規雇用を創出し、若年者に仕事を提供する最も効果的な労働市場政策であるとしている。
サバティカル休暇(注2)を取得する就業者にジョブ・センターが失業手当の85%(上限2万SEK)を補助するプログラムの枠も年間1万2000人に拡大された。このプログラムは、12の地域に限定して試行的に導入され、サバティカル休暇取得者の代替要員として、失業者、とりわけ長期失業者を雇い入れようとするものである。
政府はまた、病気休暇を取得している人々を早期に労働市場に復帰させるため、2005年1月から使用者に病気休暇手当の請求額を15%減額するよう義務付ける政策を打ち出した。
予算案は、育児休業法による月手当の上限を2万4000SEKから3万2000SEKへ引き上げることも盛り込んでいる。この改正により90%以上の両親が、育児休業期間中に収入の80%に相当する手当を受け取ることができるようになる。両親は、保険制度の下、16カ月の育児休業を取得でき、そのうち2カ月は両方の親が取得しなければならない。両親は、その他に2カ月の休暇を取得でき、法定上限が日額6SEK0から日額180 SEKに増額された手当を受給できる。
その他、予算案には、政治難民や移民の早期就職のための職業訓練、職業適性診断の実施、地理的労働移動を促進するための通勤手当(月額1200~2000SEK)支給期間の6カ月から12カ月への延長などが盛り込まれている。
注
- 1スウェーデンクローネ=15.03円(※みずほ銀行ウェブサイト2004年11月4日現在)
- サバティカル休暇は、長期休暇の一種でイスラエルの7年に1回の安息年(休耕年)にちなんだ名称。
2004年11月 スウェーデンの記事一覧
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