インドにおけるオフショアリングの動向

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年11月

インドは時差、英語圏といった強みを生かし、米国・英国のオフショアリング先として発展してきた。その職種もコールセンターといった労働集約型の業種からソフトウェア・プログラマーやエンジニアから医師、法律家といったホワイトカラー職種の領域に拡大し、最近ではこれまでとは異なった職種や分野に対する海外企業からの関心が高まっている。

1. 英ロイター社、インド、バンガロールでの事業展開を本格化

2004年10月7日、情報・通信サービスのロイター・グループは、バンガロールを世界最大の情報収集拠点にすると発表した。ロイター社がインドに進出したのは、1866年。2003年8月には、バンガロールとハイデラバードに事務所を設置、今年はじめには、バンガロールで記者を6名採用するなど、インド進出のパイロットプランを進めてきたがここに来てインドでの事業展開が本格化してきた。インドで採用された記者は、米国企業の四半期業績等基本的な財務データをカバーすることになっており、経営者へのインタビュー等については、引き続き米国内の記者が担当する。

2. ITES-BPOが新たな段階に

オフショアリングの対象業種が拡大していることに伴い、インドにおけるITES-BPO(IT-enables service and Business Process Outsourcings : IT応用サービスおよびビジネスプロセスのアウトソーシング)は、新たな段階を迎えている。従来もコールセンター業務といった労働集約型の業種から、レントゲン技師、金融ディーラーといった専門能力が必要とされる、いわゆるホワイトカラー業種に至るまで、インドへのアウトソーシングは増加傾向にあったが、この流れがさらに発展しつつあるようだ。

一般的にオフショアリングは踊り場局面にあるといわれるが、NASSCOM(National Association of Software and Services Companies:全国ソフトウェアサービス協会(注1) は、 2012年までにITES-BPO関連市場は年率44%成長すると見ている。特にインドのシリコンバレーといわれるバンガロールに関していえば、充分なIT産業の集積と豊富な人材が、従来の労働集約的職種とは異なった分野に対する海外企業のニーズに応える結果となっているようだ。

(参考)NASSCOMによるITES分類

  • カスタマーサービス:ビジネスプロセスのアウトソーシング
  • 保険請求処理:医療データ処理
  • 法関連データベース:デジタルコンテンツ
  • オンライン学習:数量化処理
  • 給与支払い処理:ウェブサイトサービス
FDIの推移(単位100万ドル)

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