中華全国総工会による北京市労働者医療互助合作保険事業

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年11月

中国では、医療制度改革によって、疾病労働者への看護の問題が解決の方向に向かいつつある。しかしさらに労働者の期待にこたえ、医療保障水準を高めるために、上海市総工会や青島市総工会では、労働者医療互助合作保険を開設している。また、中国労働者保険互助会の批准をうけて、北京市総工会でも、2003年12月の試行を経て、2004年1月から在職労働者入院医療互助合作保険を北京市全域で実施している。

在職労働者入院医療互助合作保険は自由意志で加入し、独自に管理、参加者にサービスと保障を提供するものである。労働組合がおこなう「思いやりを送る」活動の経常化、制度化、社会化をすすめるための重点的事業のひとつである。政府の進める社会保障事業のうち社会的相互扶助の一役を担うものであり、労働者のための非営利な互助救済活動として評価されている。保険事業を今後拡大していくためには、加入申請と賠償についての内容を説明し、明確にしていくとともに、合理性、有効性の把握、社会的影響、基本医療保険への影響も考慮する必要があると中華全国総工会は強調している。

以下では、在職労働者入院医療互助合作保険の内容について概要を紹介したい。

<在職労働者入院医療互助合作保険の基本的内容と目標>

  1. 保険加入の範囲と条件

    社会保障に参加した企業は、すべて労働者のために保険をかけることができる。企業内の労働組合が保険手続きをおこない、被保険者の数は、労働者総数の八割を占めなければならない。20人以下の企業の場合には、全員が被保険者でなくてはならない。社会保険に属する「医療保険料納入申請表」に記入した会社の労働数を基準とする。

  2. 加入対象

    保険に加入する労働者は労働組合員であり、中国労働者保険互助会の会員である。保険の加入は労働者の自由意志に基づく。

  3. 保険責任と期限

    保険責任期間は一年間。最初に加入してから、責任免除期間は30日とする。保険責任は、労働者が入院した場合の費用について、社会保険の請求を踏まえ個人負担の70%とする。一年の満期を迎えた後、規定の手続きを経て、契約を更新することができる。

  4. 除外責任

    6つの条項のより除外責任を明確に規定する。

  5. 調整に関する規定

    労働者互助保険と企業保険医療保険との関係はうまく処理しなければならない。

  6. 在職労働者入院医療互助合作保険の目標

    2004年に北京市でまず労働者保険互助会会員の新規を増加をめざす。現在会員は90万人であるが、社会保険に加入しているものは210万人おり、互助会には未加入ものもが多数いる。取り扱い代理店の精査し、事業拡大のための集中的活動をおこなう。具体的には、基本医療保険に加入している企業と労働者数を把握し、企業をグループ化し、加入促進することで年末までに加入率を30%まで拡大する。また、近い将来に向け、さらに団体以外の互助保険、女性労働者互助保険、医療互助保険の開発を図る。

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