政府、外資企業の最低賃金引き上げを検討

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

ベトナムの記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年10月

ベトナムでは、国内企業と外資企業において別建ての最低賃金が設定されている。外資企業の支払いについては、1999年に労働傷病兵社会問題省が決定708条により取扱いを変更してから、米ドルによる給与の支給からベトナムドンに切り替えられた。現行の交換レート(1ドル=約1万3910ドンに固定)では、45ドル受給しても62万6000ドンにしかならない。現在の最低賃金は、労働契約に定められた41万7000ドン~62万6000ドン(表1)。政府決定により消費者物価指数が10%以上上昇した場合には、改定されることになっている。

2004年8月20日、ベトナム労働組合総連合会は「2004年に入り消費者物価指数が7.2%上昇しているにもかかわらず、この賃金レベルでは多くの困難に直面する」とし、外資企業の最低賃金を一律、45ドルに引き上げるべきだと首相に対し要請した。首相は現在の外資企業の最低賃金は低すぎるとし、労働傷病兵社会問題省、ベトナム労働組合総連合会、関係部門に対し最低賃金を再検討するための調査を命じた。

ホーチミン市労働組合連合会は、国有企業の最低賃金は物価指数の上昇に応じて18万ドンから31万ドンに引き上げられた他、為替レートも1ドル=約1万3910ドンから約1万5800ドンに改定されたのに対し、外資企業における為替レートは、1万3910ドンに固定されたままで、不合理な交換レートによって外資企業の労働者が損をしていると述べた(注1)。

また、ビンタン区にある企業の労働組合幹部は、国有企業と外資企業で別建ての最低賃金を設けることには理解を示しつつも、ホーチミン市工業区・輸出加工区において、経済的にほとんど差がないにもかかわらず、区や県といった区分によって最低賃金が設定されていることに対して不満を表した。たとえば、7区から12区、トゥドゥックやビンタンなどの市の中心部の企業の最低賃金は62万6000ドンであるのに対し、隣接するクチやビンチャインなどの市の周辺地区の企業の労働者には月55万6000ドンしか支給されていない。

表1:外資企業の最低賃金
ハノイおよびホーチミン市にある企業 最低62万6000ドン
ハノイおよびホーチミン市近郊およびハイファン、ビエンホア、ブンタオ市にある企業 最低55万6000ドン
他の地域にある企業 最低48万7000ドン
困窮する地域およびインフラが整備されていない地域にある企業 41万7000~48万7000ドン

出所:海外労働情報2002年労働基礎情報を基に作成

関連情報