若年者にみる雇用の現状

カテゴリー:若年者雇用統計

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  • 国別労働トピック:2004年10月

若年者の失業問題はこれまで西側諸国において顕著であったが、最近はアジア諸国においても問題の所在が指摘され始めている。タイにおいても例外ではなく、大卒生の就職難が社会問題となるなど、将来的には重大な政策的課題になることが予想される。以下、タイにおける若年者の雇用の現状を概観してみる。

タイ労働省が発表した2004年1月の雇用動向調査によると、総人口6476万人中、労働人口は3495万人である。その内訳をみると、就業者数は3375万人、失業者は83万人である。なお失業率は2.4%(表1参照)と低いレベルに留まっている。地域別に分類すると、北東部の失業率が最も高く3.6%、次に北部地域が2.5%となっている。バンコック首都圏と中部地域はそれぞれ1.2%と1.3%である。南部の不安定な地域では2.4%に達している(表2参照)。

表 1 雇用状況別人口数(単位: 百万人)
状況 2003 2004
1. 人口 63.75 64.76
2. 労働力 34.16 34.95
- 就業 32.71 33.75
- 失業 1.15 0.83
- 季節的失業 0.30 0.37
3. 非労働力 13.86 14.27
4. 失業率(%) 3.4 2.4

出典: 労働省、労働市場レポート、2004

表 2 地域別失業率(単位: %)
地域 2003年2月 2004年2月
合計 2.3 2.4
バンコック首都圏 2.3 1.2
中部 1.5 1.3
北部 1.9 2.5
北東部 3.6 3.6
南部 1.2 2.4

出典: 国家統計局

求人数

政府の雇用当局が発表したところによると、企業の求人数はほとんどすべての学歴で増加傾向を維持している。表3は2003年と2004年の求人数を学歴ごとに示している。初等教育以下の卒業者に対する2004年の求人数は前年に比べ減少したが、大学卒業者の求人数は逆に増加している。特に増加が著しいのは、中等学校卒業者と職業学校卒業者に対する求人であった。

採用数

求人数と採用数を比較すると、採用数を上回る求人数があることがわかる。しかしながら、雇用者が採用に足る学歴を有した求職者となると、その数はかなり絞られる。数字上では中等教育卒業の資格を有する被雇用者数の割合は増えており、また職業学校卒および大学卒の被雇用者数もそれぞれ増加した(表4参照)。

表3 教育水準別求人数(単位:人)
教育水準 2003 2004
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1
合計 96079 108730 73129 56866 136739
初等以下 8509 7382 10555 6417 7582
中等職業 19035 34422 21203 16325 31695
職業 30912 34477 27939 17734 52473
大学以上 37623 42449 23432 16390 44719

出典: 労働省雇用局2004

表4 教育水準別採用数(単位:人)
教育水準 2003 2004
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1
合計 24198 28615 30595 20737 29862
初等以下 4751 4406 5503 2680 3427
中等職業 7312 8537 8969 6803 10200
職業 5829 7719 7621 5545 8094
大学以上 6306 7953 8502 5709 8141

出典: 労働省雇用局2004

以上のようなデータから判断すると、タイにおいて若年者の失業が生じる最大の原因は労働需給のミスマッチであることがわかる。国家経済社会開発機構 (NESDB)の将来に向けたフレームワークでは、知識集約型経済になるという国の目標を考慮したうえで、12の特定業種の必要人数を示し、それに既存および将来の供給を合わせるという需要主導型の手法を採用している。若年者の失業問題はこうした施策が実を結び、労働需給のミスマッチをいかに少なくするかにかかっているといえよう。

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