産学連携で、人材の需給差を解消
―卒業前のOJTをカリキュラムに組み込むよう、政府が大学側へ働きかけ

カテゴリー:若年者雇用人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2004年10月

労働雇用省傘下の公共雇用サービス局(PESO)の発表によれば、2004年1~3月で職を失ったのは、2685人。また、同局には28万8000件の求人があったにもかかわらず、再就職できたのは4分の1以下にすぎなかった。PESOは、求職と求人のミスマッチが高い失業率の原因となっていると分析。政府は、若年層(15~24歳)の失業が増加している理由のひとつに、企業と新卒者との間に存在する職能面の隔たりを挙げ、ミスマッチ解消のため産学連携の重要性を強調した。

2004年4月の失業者数は、498万9000人。その半数にあたる50.7%(252万8000人)が15~24歳の若年層であった。また、7月の失業率は11.7%で、前年同月から0.9ポイントの改善をみせた。しかし、年齢別にみると、依然として若年層の失業が目立つ結果となった。7月の15~24歳の失業者数は、196万2000人で全体の46.6%を占め、34歳以下まで含めると、その数は全体の71.4%にまで達する。

フィリピンの労働統計では例年、4月に失業率がはね上がる傾向がある。その理由は、4月に新卒者が労働市場にあふれるためといわれる。求人がないわけではいが、企業側が求める「6カ月間の就労経験」という最低雇用資格が、新卒者にとって大きな壁となっている。

こうした状況を受けて政府は、「オン・ザ・ジョブトレーニング(OJT)」をカリキュラムに組み込むよう、大学側に働きかける方針だ。これは、大学生が卒業前に企業で働くことを通じて職務を学ぶというもので、期間は6ヵ月。この間に学生は就労経験を積み、企業が求める就労資格を満たすことにより、新卒者の労働市場への円滑な参入を可能とすることが狙いだ。

サントトマス労働雇用相は、企業が求める人材と新卒者との間に存在する職能面でのミスマッチを解消することが、年々増加傾向にある若年層の失業者数を減らすことに繋がるとし、産学連携での取り組みの重要性を強調。アロヨ新政権の公約のひとつとして挙げられている「6年間で600万人以上(できれば1000万人以上)の雇用創出」実現の第一歩として、政府は教育界と実業界の連携に期待している。

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