中高年雇用対策の一つとして注目される「賃金ピーク制」導入の動き

カテゴリー:高齢者雇用労働条件・就業環境

韓国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年10月

2004年に入って政府の後押しもあって、中高年層の雇用を保障しながら、若年層の就職難を解消する道として賃金ピーク制(定年まで雇用を保障する代わりに一定の年齢から賃金の段階的な削減を認める)ににわかに注目が集まっている。とりわけ金融業界や公企業の間で賃金ピーク制を導入する動きが広がりをみせている。例えば、金融産業労組は2004年の賃上げ及び労働協約改訂交渉で「定年を58歳から59歳に延長する代わりに賃金ピーク制を導入する」ことで合意し、初めて産業別労組レベルで賃金ピーク制の導入に踏み切るケースとなった。ただし、賃金ピーク制の導入方式は各支部別に労使間の合意で決めることになっている。

賃金ピーク制を導入することで中高年層の雇用保障のみでなく、新規雇用も生み出したケースとして注目されているのは公企業の信用保障基金である。同社の労使は度重なる早期退職実施による雇用不安を解消するために2003年7月に賃金ピーク制を導入することで合意した。同社が導入した制度は「定年(58歳)の3年前に退職と同時に専門契約職として再雇用し、1年目は前年度年俸の75%、2年目は55%、3年目は35%をそれぞれ支給する」というものである。いまのところ18人が同制度の対象になっている。その結果、1人当たり3700万ウォンの人件費を節減するほか、対象者を専門分野に配置することで11億ウォンの追加利益をあげることで、60人を新規採用することができたという。

大韓商工会議所の調査によると、賃金ピーク制を導入するにあたっての最大の課題は、1.対象者の職務をどのように創り出すか、2.賃金の削減幅をどのように調整するかにある。

2004年10月 韓国の記事一覧

関連情報