統計は傷病者数を過大に推計

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年1月

ストックホルム大学のリッコネン助教授によれば、スウェーデンは最も傷病者が多いわけではなく、傷病者を最も正直に数えている。スウェーデンでは傷病のため仕事をしていない人を傷病発生時から7年間、統計上、傷病者として扱う。ところが、他の大部分の国々では傷病者と見なされるのは、初めの6カ月あるいは12カ月のみである。

約14万人の労働者は傷病を理由に1年以上仕事をしていない。これらの労働者を傷病者に含めないならば、スウェーデンの傷病者数は約半分になる。例えば、スウェーデンの労働者の傷病者率9.04%は、フィンランドの統計の取り方では4.5%になる。逆にフィンランドの労働者の傷病者率6.2%は、スウェーデン流の統計では10~12%に相当する。

国民社会保険局(NSIB、RFV)は引き続き、傷病期間中は無期限に傷病手当を受給できる制度を改め、他の諸国並みに1年で傷病手当を打ち切るべきだと強調している。しかし、スウェーデンでは早期退職者が非常に多く、制度改正による早期退職者増加を懸念する声があり、政治的に実行可能な改正かどうか見極める必要がある。

政府は、全国21の地方保険事務所が行う傷病者認定における地域格差をなくそうとしている。北部の地方保険事務所は南部の地方保険事務所よりも傷病者を積極的に認定している。傷病手当は国から支払われるため、北部の市町村は傷病者を多く認定することで、市町村の予算でまかなう社会保障関連費用を節約できる。そのため、傷病手当は、北部地域への所得移転として用いられてきた面がある。傷病者認定の地域格差是正に、NSIBが地方事務所間の相互調整に重要な役割を果たすと期待されている。

2003年7月1日より、病気の失業者は失業手当と傷病手当の併給を認められなくなり、失業手当のみを受給することになった。また、傷病期間の最初の3週間の傷病手当を使用者負担とし、従来の2週間から延長して使用者に職場における傷病対策をとるように促している。傷病手当の水準も、従前の賃金の8割から77%に引き下げられた。NSIBは、これらの政策により2003年に病気欠勤日数が9%減少し、2004年にさらに9%減少すると見込んでいる。こうした政策変更の初期の効果として、2003年7、8月には病気欠勤日数は減少したものの、賃金上昇の効果で傷病手当支払額は増加した。

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