EU加盟予定国の雇用情勢

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年1月

欧州統計局が11月17日に発表したEU15カ国および加盟予定国(2004年5月を予定)の地域別失業データによると、加盟予定国・地域間にも、雇用状況に大きな格差が存在することが明らかになっている。間もなく拡大するEUの雇用状況を分析するうえで、国ごとの差、および地域間格差にも、今後より注意を払う必要がありそうだ。

今回の調査では、既存のEU加盟国のなかで、欧州統計局が指定した211カ所の2002年の失業率(年平均)を、全体、女性、若年層(25歳以下)の3つのカテゴリーで示すとともに、加盟予定国10カ国のうち、統計不可能なマルタを除く9カ国40地域のデータを、現加盟国と同様の基準で発表している。これにより、加盟予定国の雇用実態を現加盟国と併せて比較可能になった。

加盟予定国の2002年平均失業率は14.9%で、現加盟15カ国の平均値(ルクセンブルクの2.6%からスペインの11.4%までの平均7.8%)の2倍近い。国ごとでは、キプロスが突出して低い(3.3%)ほかは、ハンガリーの5.9%からポーランドの19.9%までの範囲に分布している。これを40に分けた地域別に見ても、EU平均値以下は11地域にとどまる。

一方、EU平均の2倍(15.6%)を超えるところは19地域にのぼり、このうち16地域をポーランドが占める。同国は加盟予定10カ国の人口合計約7480万人のうち約3830万人と51%余りを占め(中東欧諸国で最大規模)、平均値を押し上げる要因となっている。 「国家財政の健全化、失業・経済対策、行政改革等に取り組むのが喫緊の課題」(外務省ホームページ「最近のポーランド情勢と日ポーランド関係 」)とされるように情勢は深刻で、旧社会主義体制から市場経済化を果たしたチェコ(7.3%)やハンガリー(5.9%)などの国のなかでも際立っているといえる。

図1 EU加盟予定国の失業率 (2002年)

図1は2002年のEU加盟予定国の失業率を表すグラフ

注:マルタを除く

図2 EU加盟国の失業率 (2002年)

図2は2002年のEU加盟国の失業率を表すグラフ

出所:EU統計局資料

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