近隣省農村からの移住者問題に

カテゴリー:労働条件・就業環境人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2003年11月

産業構造の変化に伴い、より高い収入を得ることできる都市の工業区へと仕事を求めて近隣省の農村から多くの人々が流入している。このため、ホーチミン、ハノイ、クァンニン、ニャチャン、ダナン、カントーといった都市で問題となっている。

ホーチミン市の未確認の統計によれば、2003年6月末現在には124万人の移住者がおり、これは2003年第2四半期間で10万人の増加となる。都市部の企業が技能労働者の慢性的な不足を挙げる一方で、技能を持たないため職を見つけられない移住者はそのまま失業者となるケースも多く、移住者の増加は犯罪、麻薬、汚染の増加にも影響を及ぼし、ホーチミン市当局の貧困削減・飢餓撲滅の努力を圧迫している。

農村からの移住者が雇用契約なしで短期の職を転々とする「巡回労働者」になることも多い。彼らの大部分は高齢の非熟練労働者であり社会・医療保険にカバーされず、組合にも加入しておらず、失業後に貧困に陥る傾向があることから、ホーチミン市は、移住労働者に対して公共事業等による仕事を提供するプログラムを実施している。

ベトナム労働総同盟(VGCL)はこの問題について、移住労働者はベトナムの工業化において重要な役割を果たしており、その利益を考慮せずに国家の発展はないとし、非熟練労働者に対する政府による職業訓練制度の拡充を求めている。

労働・疾病兵・社会問題省(MoLISA)は、ILOの支援を受けながら特に農村部の若年層への職業訓練を進めるとし、職業訓練政策の拡充を進めている。

都市部人口が全人口に占める割合の推移(1989-2001)
および推計(2004-2024

図:都市部人口が全人口に占める割合の推移(1989-2001)および推計(2004-2024)

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