ホテル・観光業の労働者の保護を求め、FSPM労組デモ行進

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2003年11月

2003年8月5日に起きた、ジャカルタ・マリオット・ホテルへの爆弾テロ事件では、ガードマンやポーター、駐車場誘導員などのホテル従業員14人が死亡、150人がけがを負う大惨事となった。2002年10月のバリ島での爆発事件に続く出来事に、観光業界の労組は治安の維持と労働者保護を政府に訴えるデモを行った。

観光労組のデモ

マリオット・ホテルの事件後8月6日、FSPM(観光業組合独立連盟)のメンバーらが、ホテルの周辺でプラカードを掲げてデモ行進を行った。FSPMは、政府に対して観光業の労働者の保護や、警察に対して安全性や治安の向上を訴えた。

インドネシアにおける労組の組織率は全体でも20%程度といわれており、自営業など組織化されていない労働者が多い観光業では、その比率はさらに低くなると見られている。

今回のような事件においては、使用者側であるホテルが労働者への保障をカバーすることになるが、観光地での事件に対して、労災保険が下りることはまれなケースであるといえる。

基幹産業としての観光業

2002年の爆破テロ、その後のSARS、イラク戦争と、2002-2003年はインドネシアの観光業にとって非常に厳しい年であった。実際に、この2年間で観光分野の800万人の雇用が失われたとの推計や、同じく観光国であるタイの訪問者数が1000万人であったのに比べ、インドネシアは400万人との数字が出されている(2002年の統計)。バリ島では、現在もホテルの占有率が50%を下回るところが少なくなく、ホテル経営者は頭を悩ませているという。

外貨獲得額で見ると、インドネシアにとって観光業は石油・ガス・木材産業に次ぐ基幹産業であり、安全保障や治安の維持が産業界にとっても重要な意味を持っていることが理解できる。

IUF(国際労連)も、マリオット・ホテルでの事件をかんがみて、インドネシアの観光分野の労働者保護に対して支援を行っていく考えであることを明らかにしている。

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