ACTU、コールセンター産業の請負労働者に関するアワードを締結

オーストラリア労働組合評議会(ACTU)と使用者団体、労使関係委員会はコールセンター産業で働く請負労働者に関するアワード(正式名称は「The Contract Call Centre Industry Award 2003」)をようやくまとめ上げた。アワード作成までにはおよそ18カ月間を要し、今回作成されたアワードでは様々な労働条件の最低基準が規定されることとなった。

アワードの内容

同アワードは2003年9月1日より施行され、コールセンター産業の主要業者7社のうち3社に適用される。対象となる請負労働者は、契約に基づき複数の依頼人に対し電話などの通信機器を利用した顧客サービスを提供する事業に使用される者を指す。

同アワードでは、賃金・諸手当、労働時間・休憩、年次有給休暇や育児休業、さらに苦情処理手続きや雇用の終了など多岐にわたる基本的な労働条件が定められている。特に、6段階の職務体系とそれに従った賃金率を設定し、実質的に最低賃金レベルを引き上げた。また労働時間の変更や当番表の変更に当たっては、使用者に事前の通知を義務づけ、時間外労働やシフト労働に関する割増手当を規定している。

今日までコールセンター産業の請負業者に対してはほとんど規制が行われず、請負労働者の労働条件は企業内で同一の労働を行っている者よりも格段に低いといわれていた。その意味で、今回のアワードは同業界における全国的な最低労働条件基準を設定したといえる。今後、ACTUは残りの4社とも交渉を行う予定となっている。

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