若年失業者の増加

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2003年10月

若年失業者が増加している。2002年6月には、18~24歳の年齢層で3万9279人が失業していた。1年後には、失業者数は25%上昇、4万9349人になった。また、労働市場政策によって雇用されている18~24歳の労働者は1万3604人から9270人に約4000人減少した。18~24歳の長期失業者数は、1年前に比べ2倍になっている。

若年労働者が仕事を見つける方法は主に3通りある。

  • 労働市場庁(AMS)の管轄下にある職業安定所で求職
  • 20~24歳を対象にした若年労働者雇用保障プログラム(youth guarantee):

    失業中の若者に対し、職安と地方政府が協力して100日以内に能力開発プログラムを策定する。このプログラムによる雇用は、研修期間と合わせて、最長1年間になっている。

  • 18~20歳を対象にした地方政府若年労働者プログラム:

    理論と実習を含むプログラムで、失業期間が100日に達する以前に労働者に対して提供されなければならない。このプログラムも地方政府と労働市場庁(AMS)が共同で運営していている。

若年失業者の増加は、AMSが行っている労働市場政策に対する政府支出の減少によって一部を説明できる。もしも、通常提供されている一連のプログラムが存続していたならば、若年失業者数の増加は1万人ではなく、6000人にとどまったであろう。他方、スウェーデン経済の回復が予想どおりに進まなかったことによる雇用減の影響もある。しばしば、若年労働者の最初の就職先となっているレストランや小売業で雇用が減少したことが響いている。

若年失業者対策として、どのような政策が有効であろうか。現在の労働市場政策、あるいは新たな労働市場政策へ追加的な資金を投入することが考えられる。しかしこの方法は、公的部門が関与する活動を拡大するため、競合する民間の経済活動を阻害する可能性がある。若年労働者にとって、民間での雇用のほうが、労働市場政策で雇用された場合よりも有益な経験になるかどうかも考慮しなければならない。もう1つの方法は、AMSへの資金投入により、職安職員を増員し、職業紹介機能を拡充することである。

当事者のAMSは、長期的な見地から後者の職業紹介機能拡充が最善であると判断している。職安職員を増員すれば、より多くの時間をかけて求職者の相談に当たることができ、適材適所の職業紹介が可能になるであろう。

AMSは、失業者が新たに仕事を見つけたり、9月に進学したりすることで、失業者は減少すると考えている。しかし、景気後退以前の失業者数にまで若年失業者が減るとは予想していない。

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