電気技師のスト終結

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2003年10月

2003年6月30日、電気技師の労組(SEF)と電気設備設置業の業界団体(EIO)は、2003年4月1日から2004年3月31日までの新協約に署名した。

SEFは協約に定められた権利を行使して、旧協約の終了1年前に協約を破棄してEIOに29の要求を出していた。この後、両者の間では数カ月間、交渉、調停、ストなどが行われた。29の要求のなかで最も重要な労組の要求は、建設部門における仕事上のストレスの軽減である。竣工予定日が近づくにつれ、電気設備を新たなビルなどに設置する電気技師は、より短い時間で仕事をこなすことが求められている。最近ではこの傾向が強くなっているとして、電気技師は時間的、空間的余裕を要求した。EIOは労組の諸要求を退けた。続いて2003年4月末、調停者が作った案をSEFが拒否し、交渉は暗礁に乗り上げた。

5月13日、12カ所の大規模建設現場で働く140人の電気技師がストに入り、5月22日には全国のSEF組合員1万8000人に対し、残業を拒否するようSEFは指令した。6月10日にブルーカラー労組連合であるスウェーデン労働組合総同盟(LO)は、SEFに対し、厳しい労働条件と時間制約に関する要求を取り下げるように要求した。LOは自ら、これらの事項について、EIOのみならず建設業界の各使用者と2003年秋に会談を重ね、もしも解決できなければ、2004年の交渉ラウンドで、職場における過密スケジュールによるストレスを主要な争点にすると約束した。LOのかなり異例な介入の背景には、職場におけるストレスは、電気技師だけではなく、建設業界で働くすべての労働者に共通した問題であるという認識がある。また、SEFだけではこの問題について進展を見ることが難しいとLOが判断していたことも、LOの直接介入につながった。LOは、賃上げのように実現の困難な要求ではなく、金銭が直接絡まない争点を探っていた。スウェーデン企業連盟は、電気技師のストが、職場における職務分担を決定するのは使用者であるという基本原理を崩そうとしているとして、LOの動きを牽制した。

LOの介入の後、ストレス問題はさらに注目されるようになり、6月26日に調停者は、SEFとEIOを最終交渉に招いた。交渉開始から間もなく、両者は6月30日の合意に達した。新協約の内容は、2001年に合意した旧協約と内容的に大差ない。しかし、新たな合意のなかで、労働時間の問題について労使共同の作業部会を設け、2004年の協約終了時までに一連の提案を作成すると定めている。この取り決めにSEFは満足している。

電気技師の労使紛争中に、建設業労働者などは同情ストを計画していたが、実行に移す前に電気技師の新協約が締結された。電気技師のストの端緒となった5月13日のストは、地方公共団体の現業労働者が行ったストへの同情ストと見なされている。

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