ヤコブ労相、労働者の組織化に対する意識の低さを懸念:組織率20%
現地紙「ジャカルタポスト」によると、インドネシアのフォーマルセクターの組織率がわずか20%にとどまっていることが明らかとなった。一方、労組は現在72も存在し、少ない組合員の争奪をめぐって、労組同士のトラブルなどが目立っている。労相は、組織率の低さと労働者の組織化に対する意識の低さに懸念の意を表した。
組織率はフォーマルセクターで20%
政労使の非公式3者協議において、国内に約10万社ある企業のうち、労組を持つ企業が1万6000社(約16%)、またその従業員約4000万人のうち労組に加入しているのは800万人程度(約20%)であることが報告され、労相は組織率の低さに失望感を表した。
従来、スハルト政権下においては、政府は最大手労組全インドネシア労組(SPSI)以外の労組を認めていなかったが、政権崩壊後の1998年5月、新政府は結社の自由を定めたILO条約を批准し、その後労組は乱立状態となっている。2003年現在、労働・移住省に登録済みの労組は72に上り、各労組は組合加入社の争奪に懸命になっているという。そのため、1企業に多数の労組が存在するケースも珍しくはなく、あるホテルでは3労組、またあるタバコ工場では17労組が存在し、労使紛争や労働協約など、労使での話し合いの際に混乱が起きているというケースも見られる。
多数の労組と労働者の権利
全インドネシア労働者組織連盟(KSPSI)の代表も兼任するヤコブ労相は、企業側がどの労組(または従業員)と労働協約(KKB)に関する協議を行えばいいのか苦労しているという状況は理解できるが、一方で労働者の多くも、労働組合が多くなったために使用者に対する交渉力が弱まってしまっている、という実態を明らかにした。
また現在協議されている労使紛争解決法案にあるように、労働裁判所における3者構成の紛争解決方法では、3者構成のうち労組の代表選出が主要3労組から選出されているため、不平等であるとの声も出ている。現在までのところ、組織化人数で上位のKSPSI、インドネシア労働福祉連盟(KSBSI)、インドネシア労働組合協議会(KSPI)が労働側の代表となっており、残り70近くの中小労組の声が裁判の場には届かないとの批判も出ている。
2003年10月 インドネシアの記事一覧
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- ヤコブ労相、労働者の組織化に対する意識の低さを懸念:組織率20%
関連情報
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