基礎情報:中国(2013年)
2. 雇用・失業対策

2-1 公共職業安定制度

基本業務(職業紹介)

公共職業安定所(職業紹介所)が全国ネットワークの職業紹介等を直接実施している。公共職業安定所は「就職促進法」に基づき各省、市が設置・運営している。

民間委託事例(職業訓練、就職支援等)

  • 技工学校: 若者が対象
  • 就職訓練センター: 就業困難者、レイオフ者、出稼ぎ労働者が対象

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2-2 労働者派遣制度

労務派遣が可能な業務は、労働契約法66条により「労働派遣は一般的に臨時性、補助性あるいは代替性の仕事職務で実施すべきである。」と抽象的な定義が定められている。但し一部の地域では、それを超えて詳細な要件を定義している。

動向 派遣労働、業務厳格化や罰則強化へ
—労働契約法を改正、2013年7月に施行—

全国人民代表大会常務委員会は2012年12月、労働契約法の一部修正を決定した。修正点は派遣労働関係に集中し、曖昧だった派遣可能業務の厳格化や派遣元企業に対する罰則強化などを盛り込んでいる。労働契約法は2008年に導入されたが、改正は初めて。改正法は今年7月に施行される。

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2-3 失業保険制度

根拠法:
失業保険条例(1999年)、
中華人民共和国社会保険法(2010年)
被保険者:
企業で就労する従業員
(失業保険第2条、社会保険第44条)
主な受給要件:
  • (1) 失業前に企業と本人が1年以上失業保険料を納付していること
  • (2) 本人の意思によらない、非自発的な退職であること
  • (3) 失業者が失業登録を履行し、かつ求職意思を有していること
(失業保険第14条、社会保険第45条)
給付水準:
省、自治体および直轄市等の地方政府が決定する。都市住民最低生活保障基準を下回ってはならない。
(社会保険第47条)
給付期間:
失業前の被保険期間により異なる。
  • 1年以上5年未満の場合:最長12か月の給付
  • 5年以上10年未満の場合:最長18か月の給付
  • 10年以上の場合:最長24か月の給付
(失業保険第17条、社会保険第46条)
財源:
  • (1) 失業保険料
  • (2) 失業保険基金の利子
  • (3) 財政補助金
  • (4) 規定により失業保険基金に組み入れられるそのほかの資金
(失業保険第5条)
管理運営主体:
失業保険基金は、各地方政府が管理・運営する。
(失業保険第7条)

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2-4 補足的な失業扶助制度

該当制度なし

2-5 困難な状況にある者に対する施策

事業主に対する施策(助成措置等)

中高年の継続雇用

国務院の規定「高度な専門家の離職・休職・退職における若干の問題に関する暫定規定(第2条、第4項)」が、「学術上の造詣が深く、国内海外で重要な影響力を及ぼす高度な専門家は、国務院の承認によって離職・休職・退職を一時的に緩和し、研究または著述活動が継続して行える。」と定めている。

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2-6 年齢に関する法制度(定年等関係)

根拠法令:
企業年金試行弁法
※年金受給開始年齢が、定年退職年齢とされている。直接に定年退職年齢を規定しているわけではない。
年金受給開始年齢:
男性:60歳、
女性:一般労働者が50歳、管理職が55歳

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2-7 障害者雇用対策

根拠法:
障害者保障法(1990年)、
障害者就業促進法(2007年)、
障害者就業条例(2007年)
対象者:
心理上または生理機能や身体上の組織や機能を喪失、もしくは異常があるために正常な状態での活動能力をすべてまたは一部失った者。視力障害、聴力言語障害、肢体不自由、知的障害およびその他の障害を持つ者。
使用者の責務:
国家機関、社会団体、企業等は規定に基づき身体障害者の就業を斡旋して、適切な職種を提供しなければならない。就業者に占める障害者の割合が一定の比率以下の企業は障害者就業保証金を徴収される。在職労働者が20人以下の雇用単位は障害者就業保証金を徴収されない。使用者が身体障害者を雇用する比率は、当該企業の従業員総数の1.5%を下回ってはならない。具体的な比率は、省、自治区および直轄市の地方政府が当該地の実情に基づきこれを定める。
負担金の徴収方法:
法定雇用率に達しない事業主は、就業保障金を納付しなければならない。
企業負担額=(前年度の従業員総数×1.5%(注) − 障害を持つ従業員の総数)×当該地域の従業員の前年度平均給与
  • (注) 実際の比率は下記のように省、自治区及び直轄市の地方政府が当該地域の実情に基づき定めている。
  • 北京 1.7%
  • 上海 1.6%
  • 広州 1.5%
  • 大連 1.7%
  • 蘇州 1.7%
助成:
規定を満たした企業は税制上の優遇を受けられる。税制優遇は実際に配置した障害者数に応じて増値税の納税時即還付、または営業税の軽減による。その額は省、自治区及び直轄市の税務機関が企業の所在する地域の最低賃金の6倍の額である。ただし、障害者一人あたり毎年3.5万元を超えない範囲である。

資料出所:JICA(2002)「国別障害関連情報 中華人民共和国」、小林昌之(2011)「中国の障害者雇用法制」

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