参考になるガイドブック

調査員 上村 聡子

私は、調査・解析部で労働関係の各種統計データを収集・整理したり労働統計の加工指標を作成する仕事に携わっている。最近、総務省統計局のホームページに「データを有意義なものとするために」(国連欧州経済委員会(注))というガイドブックが掲載されているのをみつけた(統計を表現するための手引 国連欧州経済委員会ガイドブック仮訳/総務省統計局)。

これは、統計局が国連欧州経済委員会事務局から承認を得て掲載しているガイドブックの仮訳版で、ホームページでは、ガイドブックは国連欧州経済委員会が「統計組織の管理者や広報担当者が、文章、統計表、グラフ、地図等を使って一般の人々に統計を分かりやすく伝えることをサポートするため」刊行したもので、「統計を一般の人々に分かりやすく伝えたいと考えている組織や担当者の方々であれば、地方公共団体、民間企業、NPOなどの如何を問わず参考になる部分が多いと考えられる」と紹介されている。

「統計を分かりやすく伝えたいと考えている人に参考になる」というところに惹かれて早速読んでみた。

ガイドブックはパート1「数字についてのストーリーを書くための手引」、パート2「統計を表現するための手引」、パート3「メディアと意思疎通を図るための手引」の3部構成となっていて、統計のストーリーを語ることの重要性、ストーリーを語るための統計表やグラフの具体的な作成方法、作成した情報をインターネット等を活用して効果的に知らせる方法が説明されている。

すべてのパートにおいて、日々の業務で気になっていること、意識していなかったこと、技術的なこと、考え方などが示されていてとても参考になった。挙げられている悪い例、分かりにくい例に耳が痛いこともあった。また、ガイドブック中には例えば、「タマネギの皮を剥くように話を進めてはならない。核心を突こう。(Don't peel the onion. Get to the point.)」とか、グラフの悪い例として「折れ線のジャングル(jungle of lines)」とか思わず笑ってしまうような表現も多く、とても読みやすいガイドブックだった。

統計を利用する際にも利用してもらう統計を作成する際にも、このガイドブックを参考にして、よりわかりやすい情報提供に努めていきたい。

(注)^United Nations Economic Commission for Europe。国連の経済社会理事会の下に置かれている地域委員会の1つ。全ヨーロッパの経済統合を促進する目的で1947年に設立された。

(2012年3月23日掲載)