続・私に何ができますか?

副統括研究員 渡邊 博顕

筆者が住んでいるのが集合住宅ということもあり、もともと正月飾りをつける家は少ないのだが、周辺の一戸建ての家の玄関を見ても今年は飾りが小さかったり、正月飾りそのものを飾っていない家が随分多かった。環境への配慮や震災後ということもあるのかもしれないが、なんとなく季節感が薄れるようで寂しい気もする。

月並みだけれど、どうか明るい年になるよう祈りたい。

さて、以前、このコラムでYさんが「私に何ができますか?」という題で集合住宅の自主防災組織が進化したことを紹介されていた。筆者も一昨年と昨年の2年間、管理組合の理事が輪番で回ってきた。以前より同じ建物の居住者や地域の方々とのつきあいも広がったものの、Yさんのところのようにいくにはまだまだだな、というのが正直な感想である。

報告書などで「地域の人のつながりが重要」などと題目だけ唱えるのもなんだから、管理組合や地域の行事にはできるだけ参加(だけ)してきたものの、いざ自分がそのなかで何ができるのかということになると、見当もつかなかった。それがぼんやりとわかるまで半年くらいかかった。月例の会議や種々の打ち合わせが開催されるのだが、大半の方が仕事に就いているので、打ち合わせは休日や時には夜遅く開催されることもあった。会議だけでは何も進まないのでどうしても「現場」に行くことになる。自治体に出す書類づくりもある。そうこうするうちに出てこなくなくなる人もちらほら現れ、残りの人の負担が重くなってしまう。関心がないのか、自分がやらなくても誰かがやるだろうというのか、管理組合や自治会、地域の行事への参加者数も居住者の人数を考えれば本当に少ない。

昨年3月の震災では居住者が協力し合って乗り越えた、といいたいところだけれど、残念ながらそう簡単ではなかった。防災訓練は毎年実施していても、交通機関が止まり帰宅できない居住者が多く、訓練通りにできたことはあまりなかった。エレベーターが止まり、階段で避難する途中で居住者が声を掛け合うのを見たときは少しだけほっとした。また、夜間に計画停電が実施された際、発電機で出入り口に照明を点すことにしたが、その準備や通行の誘導には居住者に協力をお願いするなど、綱渡りが続いた。

一緒に活動された方々に助けていただきながらどうにか2年の任期を終えた。震災のような非常時の対応に限らず、すべてが手探りで失敗もたくさんあった。ただ、些細なことでも1つのきっかけになったのか、配布文書を工夫することで行事への参加者が少しだけ増えてきた。

一番身近な地域である自治会の役員や集合住宅の管理組合の理事のなり手がいないと時々新聞などで報じられている。輪番制をとると様々な事情で役員・理事ができない方にも順番が回る。一切反応がない方もいる。限られた人が活動し続けている自治会や管理組合は決して少なくないはずだ。仕事から離れて地域に戻って新たな関係を築いていくには、きれい事だけでは済まないことが多いだけに、時間とエネルギーとそれを支える気持ちが大切だ。筆者のところでもいつかYさんのところのような活動ができればいいのだけれど。

(2012年1月13日掲載)